実験考察問題は、完全な初見問題ではありません
中学受験理科では、実験考察問題で差がつくことがあります。
長いリード文。
見慣れない実験。
表やグラフ。
条件の多い問題。
聞いたことのない設定。
こうした問題を見ると、「これは初見問題だから、その場で考えるしかない」と感じるかもしれません。
しかし、実験考察問題の多くは、完全な初見問題ではありません。
実際には、典型問題の組み合わせでできていることがほとんどです。
表の読み取り。
グラフの読み取り。
条件を一つだけ変える実験。
対照実験。
規則性を見つける問題。
リード文からキーワードを抜き出す問題。
こうした型を身につけておくと、一見初めて見る問題でも、知っている考え方に落とし込めるようになります。
この記事でわかること
・実験考察問題が苦手な子に多い失敗
・実験考察問題が初見問題に見える理由
・表やグラフの読み取り方
・条件を変える実験の考え方
・対照実験で意識すべきこと
・リード文型問題でキーワードを抜き出す方法
・実験考察問題の直し方
・保護者が家庭で確認できること
実験考察問題が苦手な子に多い失敗
実験考察問題が苦手な子に多い失敗は、条件整理のポイントを理解していないことです。
また、よくある問題なのに、必要なキーワードが入っていないことも多いです。
実験考察問題では、ただ知識を覚えているだけでは足りません。
・何を調べる実験なのか
・どの条件を変えているのか
・どの条件をそろえているのか
・表やグラフから何が読み取れるのか
・どのキーワードを使うべきなのか
を整理する必要があります。
これができていないと、問題文が長くなっただけで、何をすればよいかわからなくなります。
実験考察問題ができる子は、類推や連想ができます
実験考察問題ができる子は、一つのことを基本にして、よく似た問題に応用することができます。
ここでいう応用は、難しいひらめきというより、類推や連想に近いものです。
たとえば、
・これは植物の発芽実験と同じ考え方だ
・これは蒸散の実験で見た条件整理に似ている
・これは対照実験の形に持ち込める
・これは表から規則性を見つける問題だ
・これはグラフの折れ目を見る問題だ
というように、知っている型に結びつけて考えます。
逆に、実験考察問題が苦手な子は、問題を一問一答式にとらえていることが多いです。
知識は知っているけれど、実験の中でどう使えばよいかわからない。
これが、実験考察で止まる原因になります。
実験考察問題の種類
実験考察問題は、次のように分けると考えやすくなります。
・表の読み取り
・グラフの読み取り
・条件を変える実験
・対照実験
・規則性を見つける問題
・リード文型の初見問題
・複数単元の組み合わせ
複数単元の組み合わせは難しく見えますが、実際には上の基本ができるようになれば、少しずつ対応できるようになります。
まずは、表、グラフ、条件整理、対照実験、キーワードの抜き出しを練習しましょう。
最初に練習したい実験考察問題
天体が苦手な子は、図を書かないだけでなく、定義をあいまいに覚えていることが多いです。
たとえば、
・南中とは何か
・月の満ち欠けは何で決まるのか
・星の動きは何が原因か
・東西南北と見える向きはどう対応するか
・地球上での方位と時刻の決め方はどうかあ
実験考察問題が苦手な子は、いきなり難しい初見問題に取り組む必要はありません。
最初に練習したいのは、次のような基本的な実験です。
・植物の発芽の実験
・蒸散の実験
・光合成の実験
これらは、条件整理や対照実験の考え方を学びやすい実験です。
「何を変えているのか」
「何をそろえているのか」
「どの結果を比べればよいのか」
を確認しながら解く練習に向いています。
こうした基本があいまいだと、少し聞かれ方が変わっただけで止まってしまいます。
難関校で差がつく実験考察問題
難関校で差がつくのは、リード文型で、データが多く、どれを使えばよいかわかりにくい問題です。
こうした問題では、知識量だけでなく、
・設問から何を聞かれているかをつかむ
・実験条件を整理する
・表やグラフのどこを見るか判断する
・使うべきキーワードを抜き出す
・必要なデータだけを選ぶ
ことが必要になります。
データが多い問題では、すべてを同じ重さで読もうとすると時間が足りなくなります。
何を聞かれているのかを先に確認し、必要な情報を探しにいく意識が大切です。
実験考察問題で最初に見るべき順番
実験考察問題では、読む順番も大切です。
私なら、次の順番で見ます。
・設問
・実験条件
・表、グラフ、図、単位
・リード文
最初からリード文を全部丁寧に読もうとすると、時間がなくなることがあります。
まず設問を見て、何を聞かれているのかを確認する。
次に、実験条件を見る。
そのうえで、表、グラフ、図、単位を確認する。
最後に、必要なキーワードを探すためにリード文を読む。
この順番で読むと、どこに注目すべきかが見えやすくなります。
表の読み取りで大切なこと
表の読み取りでは、まず何の数値なのかを確認します。
生物系の実験では、問題文の指示に従って、必要なデータを探すことが大切です。
たとえば、
・発芽した数
・蒸散量
・二酸化炭素の増減
・酸素の発生量
・植物の成長量
など、何を表している数値なのかを確認します。
化学や力学の表では、規則性を見つけることが重要です。
・隣との差を見る
・比例関係を探す
・反比例の関係を探す
・一定になるところを探す
・変化が止まるところを探す
表は、ただ数字を眺めるものではありません。
数字の並びから、実験のルールを見つけるものです。
グラフの読み取りで大切なこと
グラフの読み取りでは、形から規則性を予測することが大切です。
右上がりなのか。
右下がりなのか。
直線なのか。
曲線なのか。
途中で折れ曲がっているのか。
グラフの形には意味があります。
特に注目したいのは、グラフの折れ目です。
折れ目は、規則性が変化する点であることが多いです。
化学反応なら、反応が終わる点。
溶解度なら、溶けきれなくなる点。
力学なら、条件が切り替わる点。
グラフの折れ目を見つけることで、問題の突破口が見えることがあります。
条件を変える実験では、一つだけ条件の違うものを探す
条件を変える実験では、一つだけ条件の違うものを探すことが大切です。
実験考察では、何かの原因を調べるために、条件を変えて比べます。
このとき、比べるものの条件がいくつも違っていると、何が原因かわからなくなります。
だからこそ、
・一つだけ条件が違うものを探す
・一つだけ条件が違う状態を作る
・ほかの条件はそろえる
ことが大切です。
この考え方は、対照実験にもつながります。
対照実験では、片方が結果の出たものであることを忘れない
対照実験では、片方が結果の出たものであることを忘れないようにしましょう。
対照実験は、条件の違いによって結果がどう変わるかを調べるためのものです。
つまり、比べる対象が必要です。
片方だけ見ても意味がありません。
・どちらが結果の出たものか
・どちらが比較対象か
・何の条件が違うのか
・何の条件をそろえているのか
を確認することが大切です。
リード文型の初見問題は、キーワードを抜き出す練習をしましょう
リード文型の初見問題では、長い文章の中から必要なキーワードを抜き出す練習が必要です。
問題文が長くなると、すべてを同じ重さで読もうとしてしまう子がいます。
しかし、入試では時間が限られています。
大切なのは、設問を先に見て、どんな情報を探すべきかを意識してから読むことです。
・何の単元の話か
・どんな実験か
・どの条件が変わっているか
・どの言葉が繰り返されているか
・どの数値や単位が重要か
こうしたポイントを探しながら読みましょう。
知識はあるのに実験考察が解けない子に足りないもの
知識はあるのに実験考察が解けない子には、問題慣れが足りないことがあります。
また、時間制限の中で処理する練習が足りない場合もあります。
さらに、文章量にやられている可能性も高いです。
実験考察問題は、知識だけでなく、
・長い文章を読む
・条件を整理する
・表やグラフを見る
・必要なデータを選ぶ
・キーワードを拾う
・時間内に処理する
という作業が重なります。
そのため、知識があっても、処理の経験が足りないと点につながりません。
実験考察問題の勉強法
実験考察問題は、基本的な問題をたくさん解くことが大切です。
いきなり難問ばかり解く必要はありません。
むしろ、一見易しいと思える問題を反復練習することが重要です。
その際に、答えが合っているかだけで終わらせてはいけません。
解いたあとに、
・何のキーワードを使ったか
・対照実験だったか
・規則性を見つけられたか
・表のどこを見たか
・グラフのどこに注目したか
・条件を一つだけ変えられたか
を確認しましょう。
実験考察問題は、ただ量をこなすだけではなく、何を使って解いたのかを振り返ることが大切です。
実験考察問題の直し方
実験考察問題の直しでは、答えだけを確認して終わらせないようにしましょう。
大切なのは、どこで条件整理に失敗したのかを確認することです。
・設問を読み取れていたか
・実験条件を整理できていたか
・表やグラフの必要な部分を見られていたか
・キーワードを拾えていたか
・対照実験として考えられていたか
・規則性を見つけられていたか
・時間が足りなかったのか
これらを確認します。
特に、表やグラフの問題では、もう一度表を読み直したり、グラフの折れ目を確認したりすることが大切です。
保護者が家庭で確認できること
保護者が家庭で実験考察問題を見てあげる場合、難しい理科の説明をする必要はありません。
確認したいのは、子どもが何を使って解いたかです。
・キーワードを拾えていたか
・対照実験として考えられていたか
・規則性を見つけられていたか
・表やグラフのどこを見たか説明できるか
・条件の違いを説明できるか
こうした点を聞いてみてください。
答えが合っているかどうかだけでなく、どのように考えたかを確認することが大切です。
保護者がやりがちなNG
保護者がやりがちなNGは、答えが合っていればよしとしてしまうことです。
実験考察問題では、たまたま答えが合うことがあります。
しかし、条件整理の方法が身についていなければ、次の問題では解けません。
答えが合っていても、
・どの条件を使ったのか
・どのデータを見たのか
・なぜその判断をしたのか
・同じ考え方を別の問題でも使えるのか
を確認することが大切です。
実験考察では、答えよりも考え方の再現性を見ましょう。
木ノ下翔からのアドバイス
実験考察が苦手な子に伝えたいのは、まず典型パターンを覚えようということです。
実験考察問題は、完全な初見問題に見えることがあります。
しかし、多くは典型問題の組み合わせです。
表の読み取り。
グラフの読み取り。
対照実験。
条件を一つだけ変える実験。
規則性を見つける問題。
リード文からキーワードを抜き出す問題。
これらを一つずつ練習していけば、見慣れない問題にも対応しやすくなります。
長い文章から、時間を区切ってキーワードを抜き出す練習もしましょう。
実験考察問題は、一気に得意になるものではありません。
一見易しいと思えることの反復練習しかありません。
基本的な実験を何度も見て、条件整理の型を身につける。
そこから、少しずつ長いリード文やデータの多い問題に進んでいきましょう。


