灘中2026年度理科とは
灘中2026年度理科は、物理・化学・生物・地学から全6大問が出題されています。今回の分析では、問題PDFと38分51秒の全問解説動画を照合しました。
- 大問1:物理・電気回路
- 大問2:生物・個体数推定と食物連鎖
- 大問3:地学・天体の自転と公転
- 大問4:化学・気体と水溶液
- 大問5:化学・金属と塩酸の反応
- 大問6:物理・力学、エネルギーと摩擦
灘中の理科では、問題文や図から必要な情報を見つけ、既習の知識や典型パターンと結びつけ、条件を整理して処理する力が必要です。
この思考の流れを、私は「木ノ下FIVE」と整理しています。木ノ下FIVEは「見る・認識する・つなげる・整理する・解く」の5段階です。詳しくは木ノ下FIVEとは?をご覧ください。
灘中2026年度理科の大問別タイムコード
- 大問1 00:00〜06:34
- 大問2 06:35〜14:54
- 大問3 14:54〜21:20
- 大問4 21:20〜24:36
- 大問5 24:36〜28:50
- 大問6 28:51〜38:51
大問5は26:00付近で動画の接続に飛躍があります。問2後半から問5(2)までの解説過程は、今回確認した動画では追うことができませんでした。本記事でも、確認できない内容を推測で補っていません。
大問1 電気回路
大問1では、豆電球、発光ダイオード、コンデンサーを使った電気回路が扱われています。解説動画では、回路図に色をつけながら、電流がどこを通るのかを確認しています。
複雑な回路を頭の中だけで処理すると、ショートしている部分や発光ダイオードの向きを見落としやすくなります。電流が流れる可能性のある経路を一本ずつ図上でたどることが大切です。
大問1で働く木ノ下FIVE
- 見る:回路のつながりと部品の向きを見る
- 認識する:直列・並列・ショートしている部分を認識する
- つなげる:基本回路で学んだ電流の流れ方とつなげる
- 整理する:電流の経路を色分けする
- 解く:各豆電球や発光ダイオードの状態を判定する
大問2 個体数推定と食物連鎖
大問2では、ブルーギルの個体数推定、生態系、食物連鎖が扱われています。標識再捕獲法による計算に加え、グラフを延長して値を読み取る問題や、生物どうしの関係を考察する問題が含まれています。
グラフの読み取りでは、目盛りの値だけを見るのではなく、点の並び方から直線を延長し、軸との交点を読み取ります。解説動画では「大体、目盛りの10分の1を読むっていうのが基本ルールですから」と説明しています。
大問2で働く木ノ下FIVE
- 見る:グラフの軸、目盛り、点の並び方を見る
- 認識する:減少幅や直線関係が何を意味するかを認識する
- つなげる:生物の特徴や食物連鎖の知識とつなげる
- 整理する:池ごとの生物の増減を表に整理する
- 解く:個体数や生物間の関係を判断する
大問3 天体の自転と公転
大問3では、円形レール上を動くカメラと、カメラ自体の回転を使って、自転と公転による見え方を考えます。
天体の見え方は、頭の中だけで回転させると混乱しやすい問題です。解説動画では、カメラと対象物の位置関係を上から見た簡単な図にし、移動後の向きや視界のずれを書き込んでいます。
「ちょっと書いたらすぐわかるんで、だんだん書いていくのがいいですよね」
最初から完成した図を描く必要はありません。考えるために必要な情報を少しずつ書き足します。角度の変化は自転と公転を角速度に直し、旅人算のように差を考えます。
大問3で働く木ノ下FIVE
- 見る:カメラ、レール、対象物の位置関係を見る
- 認識する:公転と自転による二つの回転を認識する
- つなげる:月の自転・公転や旅人算の考え方とつなげる
- 整理する:上から見た図と角速度に整理する
- 解く:視界のずれや周期を計算する
大問4 気体と水溶液
大問4は、気体、水溶液、実験器具についての知識問題です。各選択肢を一文ずつ読み、正しい部分と誤っている部分を知識と照合して判断します。実験器具では、二股試験管の構造と使い方も確認しています。
選択肢全体の印象で正誤を決めず、一つの選択肢に複数の内容が含まれている場合は、それぞれを分けて確認します。
大問4で働く木ノ下FIVE
- 見る:選択肢を一文ずつ見る
- 認識する:何の知識を問う記述なのかを認識する
- つなげる:気体、水溶液、実験器具の知識とつなげる
- 整理する:正しい部分と誤っている部分を分ける
- 解く:選択肢の正誤を判定する
大問5 金属と塩酸の反応
大問5では、金属Mと塩酸の反応、二股試験管の使い方、過不足による気体発生量が扱われています。
解説では、金属Mの使用量を未知数として予想値を求めますが、その結果に当てはまるグラフが選択肢にありません。そこで「20から40の間のグラフがないので、ないってことはこれは間違いなんだということがわかります」と判断し、最初の前提を見直しています。
自分の答えと選択肢の矛盾は、考え方を修正するための手がかりになります。
大問5で働く木ノ下FIVE
- 見る:実験条件と選択肢のグラフを見る
- 認識する:金属と塩酸のどちらが不足するのかを認識する
- つなげる:化学反応の過不足と比例計算につなげる
- 整理する:未知数を置き、反応量の関係を整理する
- 解く:計算結果と選択肢を照合し、必要なら前提を修正する
確認できない部分について
26:00付近では、問2の解説途中から問5(3)の解説へ移っています。問2後半から問5(2)までの解説過程は確認できなかったため、内容を断定していません。
大問6 力学・エネルギーと摩擦
大問6では、ばねで弾かれた物体が摩擦のあるテープ上を移動するときの、失われる高さと到達高度の関係を考えます。
表の数値から、テープ上を進む距離と摩擦によって失われる高さの関係を見つけます。次に斜面の直角三角形にある3:4:5の比を使い、斜面上の距離を高さに変換します。
「斜面上を進んだ距離」と「上昇した高さ」を混同しないことが重要です。本来到達できる高さ-摩擦で失う高さ=現在の高さ、という関係に整理します。
大問6で働く木ノ下FIVE
- 見る:斜面、テープ、物体の移動経路を見る
- 認識する:距離と高さが別の量であることを認識する
- つなげる:3:4:5の比、摩擦、エネルギーの知識とつなげる
- 整理する:未知数を置き、高さの関係式に整理する
- 解く:方程式や不等式を使って範囲を求める
灘中2026年度理科から見える3つの重要な力
1.複雑な状況を図にする力
大問1の回路、大問3の自転と公転、大問6の斜面では、複雑な状況を頭の中だけで処理していません。図は答えをきれいに説明するためではなく、考えるために使います。
2.知識を別の問題につなげる力
一見すると初めて見る問題でも、使われている考え方まで新しいとは限りません。「以前に学んだ何と似ているか」を探すことが重要です。
3.自分の前提を修正する力
大問5では、計算結果と選択肢が合わないことから、最初の前提を見直しています。矛盾に気づき、どこまで戻るかを判断する力も必要です。
灘中理科の対策で意識したいこと
灘中理科の対策を、難問をたくさん解くことだけだと考えない方がよいでしょう。まず必要なのは、典型問題で使う基本的な処理を身につけることです。
- 回路に電流の経路を書き込む
- グラフを延長して値を読む
- 天体の位置関係を図にする
- 化学反応の過不足を整理する
- 未知数を置いて関係式を作る
- 距離と高さを区別する
初見問題に見えても、まず問題を見る。何を問われているかを認識する。既習の知識や典型パターンとつなげる。条件を図や表に整理する。最後に計算・選択・記述の処理をします。
まとめ
灘中2026年度理科では、電気回路、生態系、天体、気体と水溶液、化学反応、力学と幅広い分野が扱われています。分野は異なりますが、問題を解くときの基本的な流れは共通しています。
見る。認識する。つなげる。整理する。解く。
難しい問題に出会ったときは、自分がこの5段階のどこにいるのかを確認してください。どの段階で止まったのかがわかれば、解き直すべき内容も見つけやすくなります。
初見問題は、木ノ下FIVEで解く。


