浮力の問題で手が止まったら、まず力の矢印を描く
2026/09/16
浮力の問題で手が止まったとき、公式を探す前にやってほしいことがあります。一つの物体に働く力を、矢印で全部描くことです。
浮力も「力」がつく通り、力学の単元です。授業では「どの物体を見ている?」「上向きの力は?」「下向きは?」と確かめます。図に分かっている力を書き込むと、求めるべき力が見え、そこから計算を進められる子がいます。
対象の物体を決める → 働く力を全部描く → 分かっている値を書く → つり合いから未知の力を求める。
まずは30秒の図解で確認
水中で静止する物体を例に、重力・糸が引く力・浮力の関係を整理します。字幕・図解の動画です(音声なし)。
1.どの物体に働く力かを決める
物体・水・容器が出てくる図で、いろいろな物に働く力を一緒に数えると、つり合いの式が立てにくくなります。まず、今考える物体を一つ決めましょう。
糸でつるした物体が水中で静止し、底に触れていないなら、その物体には次の力が働きます。
| 向き | 力 |
|---|---|
| 下向き | 重力 |
| 上向き | 水から受ける浮力 |
| 上向き | 糸が引く力 |
底に触れている問題なら、底から受ける力も考えます。糸がない、別の物体に押されているなど、条件によって力は変わります。「浮力の問題だから矢印は必ず3本」と暗記しないようにしましょう。
2.分かっている力から、分からない力を求める
100gの物体を水中で静止させ、糸が上向きに引く力が60gだとします。物体が底に触れず、空気の浮力を考えない場合、下向きは重力100g、上向きは糸の力60gと浮力です。
60+浮力=100
浮力=100−60=40g
「100から60を引く」と計算だけを覚えるのではなく、何と何がつり合っているかを矢印で説明できるか確かめます。この記事では、入試教材の表記に合わせ、1gの物体に働く重力の大きさを「1g」と表します。
3.浮力は、押しのけた液体の重さと同じ
浮力を体積から求めるときは、押しのけた液体を考えます。浮力の大きさは、その液体の重さと等しくなります。気体についても同じ考え方が使えますが、ここでは液体で確かめます。
水に入った部分が30cm³なら、押しのけた水も30cm³です。水1cm³を1gとして、押しのけた水は30g。その重さに等しい30gの浮力が働きます。
大切なのは、物体全体の体積ではなく、液体に入っている部分の体積を見ることです。体積80cm³の物体でも、水に入っている部分が30cm³なら、この計算に使うのは30cm³です。
4.同じ体積でも、液体が変わると浮力は変わる
同じ30cm³を押しのけても、液体1cm³の重さが0.8gなら、押しのけた液体は30×0.8=24gです。浮力は24gになります。
つまり、見るべき条件は二つです。押しのけた体積と、その液体の密度。どちらが変わったかを分けて読むと、数字を取り違えにくくなります。
浮力は、なぜ上向き? 木ノ下翔の声と板書で確認
力の矢印を描くとき、「なぜ浮力は上向きなのか」も確かめてみましょう。単元別講座から約26秒を抜粋しました。こちらは本人の音声付きです。
静止した水中の直方体で、上下の面が水平な場合を考えます。上面と下面の面積は同じですが、深い下面のほうが水圧は大きくなります。「水から受ける力=水圧×面積」なので、下から上へ押す力のほうが大きく、差し引きで上向きの浮力が残ります。
全体200cm³と、水中の100cm³を取り違えない
お子さまが物体全体の体積をそのまま使っていたら、「水に入っているのは、どの部分?」と確かめてみてください。体積200cm³・重さ100gの木片が、水に浮いて静止する場面を約36秒の授業動画で説明します。
下向きの重力100g=上向きの浮力100g。押しのけた水が100gなので、水中の体積は100cm³。全体200cm³のうち、半分が水中にあります。
水の密度は1g/cm³、空気の浮力は考えません。数値が合うかだけでなく、「なぜ全体の200cm³を使わないのか」を図で説明できるか確かめましょう。
家庭で確かめるなら、この3つの問いかけ
- 「今、どの物体に働く力を考えている?」
- 「上向きと下向きに、どんな力が働いている?」
- 「この体積は、物体全部? それとも水に入った部分?」
答えが違っていたときも、すぐに公式を言う前に、図へ矢印と数値を書き込んでもらいます。力を一つ落としているのか、体積を取り違えているのかを見つける手がかりになります。
無料の3問確認プリント
力のつり合い、水に入った部分の体積、液体の密度を変えた場合を確認するオリジナル3問です。A4・2ページで、1ページ目が問題、2ページ目が解答。登録不要で保存・印刷できます。
答え合わせでは、数値だけでなく「その矢印は誰から受ける力か」「なぜその体積を使ったか」を説明してみてください。
プリントの次は、塾の問題で矢印を描く
3問を確かめたら、塾の宿題やテスト直しから浮力の問題を一問選びましょう。考える物体を決め、働く力を全部描き、分かっている値を書き込みます。体積を使うときは、液体に入っている部分を確かめてください。
一段やさしい問題でも矢印を描けない場合は、その段階の解説から見直します。基本問題は解けるのに今の問題で止まる場合は、解説を見ながら、糸や底との接触などの条件を一つずつ確かめましょう。
教材の案内ページは公開しています。動画の視聴には、ログインと対象コースの契約・購入が必要な場合があります。初めての方は体験の対象・条件をご確認ください。
ほかの単元でも、基本を図に戻す
公式は知っているのに解けないときに
木ノ下翔の理科指導では、途中の図や式から、どの条件を見落としているかを確かめます。浮力のどの段階で手が止まるか、一緒に整理しましょう。
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