ジェットコースターの速さは、まず高さを見る
中学受験理科専門講師・木ノ下翔が、振り子とジェットコースターの図を使って、位置エネルギーと運動エネルギーの考え方を解説します。
速さを比べる問題でも、最初に見るのは高さです。同じ物体が動き、摩擦や空気抵抗などによってエネルギーが失われないとき、同じ高さにある地点では速さも同じになります。
下りの途中のBと、上った先のD。どちらが速い?
動画では、高い地点Aから動き始めた物体が、Bを通って最も低いCへ下り、その後Dへ上る図を使います。BとDは同じ高さです。
「下っているBのほうが速そう」「Dまで進むうちに遅くなりそう」と、進む向きや道のりに目が向くかもしれません。ここで、BとDを結ぶ水平な線を引いてみます。同じ高さにあることが、図ではっきりします。
位置エネルギーを先に比べる
基準となる面から高い場所にある物体は、位置エネルギーをもっています。同じ物体なら、高さが高いほど位置エネルギーは大きくなります。一方、動いている物体がもつのが運動エネルギーです。
今回の条件では、位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定です。位置エネルギーが減った分だけ、運動エネルギーが増えます。速さを直接求めようとする前に、高さから位置エネルギーを比べると整理できます。
- BとD:同じ高さなので位置エネルギーが等しく、運動エネルギーも等しい。したがって速さも同じ。
- C:最も低く、運動エネルギーが最も大きい。4点の中で最も速い。
- A:最も高く、4点の中で最も遅い。静かに放す瞬間なら速さは0。
速い順に並べると、C > B = D > Aとなります。
振り子でも、同じ考え方が使える
動画の前半では、振り子を使ってこの関係を説明しています。最も低い位置を高さの基準とし、最も高い位置での位置エネルギーを仮に100とおきます。最も高い位置では一瞬止まるので、運動エネルギーは0。最も低い位置では位置エネルギーが0、運動エネルギーが100です。
高さが半分の地点なら、位置エネルギーは50、運動エネルギーも50となります。ここでいう半分は鉛直方向の高さです。振れた角度や、円弧に沿って進んだ距離の半分ではありません。100や50は関係を考えるために置いた値です。
使える条件まで確かめる
この説明では、同じ物体について、摩擦・空気抵抗・ブレーキなどによるエネルギーの損失を考えていません。高さは共通の基準面から測ります。問題文に摩擦やエネルギーの損失が書かれている場合は、その条件を加えて考える必要があります。
まず条件を確認し、図に同じ高さの線を引く。そして、位置エネルギーから運動エネルギーへ順に考える。答えだけでなく、最初に何に着目するかを確かめてみてください。
解説:木ノ下翔
中学受験理科専門講師。「学問のすすめ 大和西大寺教室」での指導と、解説動画サービス「理科の伴走」を通じて、中学受験の理科学習を支えています。
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