甲陽学院中2026年度理科とは
甲陽学院中2026年度の理科では、昆虫・植物・月・中和・運動・水素吸蔵合金・音と、幅広い題材が扱われました。
ただし、知識を覚えているだけですべて解ける構成ではありません。図や表から必要な条件を見つけ、複雑な現象を解きやすい形に変え、必要に応じて設問の順番まで変える。こうした「解き始める前の判断」が重要になる問題です。
この記事では、問題PDFと60分39秒の全問解説動画を照合した解析結果をもとに、甲陽学院中2026年度理科で確認できた考え方を整理します。
2026年度理科の全体像
- 昆虫の変態とミツバチの色覚
- 光合成・呼吸・蒸散
- 月の見え方と南中高度
- 海水・二酸化炭素・中和計算
- ボールの衝突と跳ね返り運動
- 水素吸蔵合金と気体の密度
- 音の到達時刻と音が重なる位置
分野は異なりますが、共通するのは、条件をそのまま受け取らず、解きやすい形へ変換することです。この思考の流れを、私は「木ノ下FIVE」と整理しています。
木ノ下FIVEは「見る・認識する・つなげる・整理する・解く」の5段階です。詳しくは木ノ下FIVEとは?をご覧ください。
知識は「思い出す」だけで終わらせない
昆虫や植物の問題では、不完全変態、光合成、呼吸、蒸散などの基本知識が問われました。
光合成の問題では、グラフに示された二酸化炭素の減少量を、そのまま光合成量にはできません。植物は同時に呼吸もしているため、見かけの減少量に呼吸による増加分を足し戻します。
知識を答えとして使うだけでなく、グラフの数値が何を表しているのかを認識することが必要です。
月の問題は、図を見る方向を変える
月の見え方の問題では、与えられた側面図を、地球を北極上空から見た平面図へ描き直しました。
これは、見えにくい立体関係を、時刻・方位・月の位置を整理しやすい平面関係へ変える操作です。図がわかりにくいときは、図を眺め続けるのではなく、「どの方向から見れば整理しやすいか」を考えます。
設問を順番どおりに解く必要はない
海水と中和の問題では、問3を処理する前に、問4に示された「合計150cm³」という条件を利用しました。
実験ごとに異なる数値を同じ基準へそろえることで、表全体を比較しやすくなり、2本の直線の交点から中和する体積比を確定できます。
後の設問や図表が、前の設問を解くための突破口になることがあります。解けない設問の前で止まり続けず、一度その大問全体を見渡すことが大切です。
運動は水平方向と鉛直方向に分ける
ボールの衝突と跳ね返りの問題では、運動を水平方向と鉛直方向に分けました。
鉛直方向では落下と跳ね返りにかかる時間を確認し、水平方向では一定の速さで進む距離を考えます。板に当たっても速さが変わらない場合は、複雑な軌跡を「板の位置で折り返した直線運動」と捉えます。
行きと帰りで速さが変わる場合も、移動距離が等しければ、速さの比と時間の比が逆になる関係を使えます。変わるものと変わらないものを分けることがポイントです。
水素吸蔵合金は、密度が一定になる場面を見つける
水素吸蔵合金の問題では、気体の体積・質量・密度に加えて、固体が水素を吸収・放出する条件を扱いました。
計算前に、気体中の水素、固体に吸収された水素、容器の体積、吸収・放出が始まる密度を分けます。そして仮に反応が起きない場合の密度を計算し、基準値と比較して、実際に吸収や放出が起きるかを判断します。
音の問題を「距離が等しい場所」の問題へ変える
終盤では、複数の人物が出す音と、壁で反射する音の到達時刻を扱いました。
「2つの音が同時に届く」を「2つの音が進む距離が等しい」と言い換えると、音の問題を図形の問題へ変えられます。2点からの距離が等しい場所は、その2点を結ぶ線分の垂直二等分線上です。
壁で反射する音は、音源や到達点を壁の反対側へ折り返し、直線距離として整理します。候補となる位置を求めた後も、その位置が人物の移動可能範囲に入っているかを確認します。答えらしい数値が出ても、条件に合わなければ採用しません。
甲陽学院中2026年度理科に現れた木ノ下FIVE
1.見る
図表と設問全体を確認し、使うべき条件を探します。中和の問題では、後の設問にある共通条件を先に見つけました。
2.認識する
問題文の現象が何を意味するかを捉え直します。音が重なることを「2点からの距離が等しい」と認識した場面が代表例です。
3.つなげる
現在の問題を既習知識や別の表現と結びつけます。月の南中高度を太陽の南中高度と結びつけ、直角三角形の辺の比を相似へつなげました。
4.整理する
条件を表・グラフ・模式図・タイムラインへ置き換えます。複数の音の到達時刻や、気体と固体に存在する水素を分けて整理しました。
5.解く
整理した関係を使い、最後に計算や選択を行います。「解く」は最初ではなく、最後にあります。
過去問演習で確認したい4つのポイント
- 後の設問まで見てから解法を決めたか
- 図を別の方向から描き直せたか
- 変わる量と変わらない量を分けたか
- 求めた数値が問題の条件内にあるか確認したか
解説を読んで理解できても、自分で最初の一手を選べなければ、次の初見問題では再現できません。解き直しでは「最初に何を見るか」「何と言い換えるか」「何を図や表にするか」を自分の言葉で説明してください。
木ノ下翔からのアドバイス
甲陽学院中2026年度理科には計算量の多い問題があります。しかし、計算を始める前に問題を簡単な形へ変換できれば、処理量を減らせる問題もあります。
設問番号どおりに進む必要はありません。与えられた図をそのまま使う必要もありません。音の問題を図形へ変えるように、必要なら算数の知識も使います。
初見問題で大切なのは、すぐに式を書くことではなく、何を同じものとして扱い、何を分けるかを決めることです。
解析上の注意
この記事は、甲陽学院中2026年度理科の問題PDFと60分39秒の全問解説動画を照合した統合解析をもとに作成しています。
問題PDFと動画内の板書では、大問番号の表記に一部揺れが確認されました。そのため、誤認を避けるために「月の問題」「中和の問題」などの題材名を併記しています。
また、本記事で述べている特徴は2026年度の解析結果です。複数年度を比較して確認していない内容を、甲陽学院中理科全体の恒常的な傾向としては断定していません。
まとめ
甲陽学院中2026年度理科では、知識を呼び出すだけでなく、図の視点を変える、設問順を変える、運動を分離する、物理現象を図形へ言い換えるといった判断が必要でした。
見る。認識する。つなげる。整理する。解く。
難しい問題に出会ったときは、自分が木ノ下FIVEのどの段階で止まったのかを確認してください。
初見問題は、木ノ下FIVEで解く。


