小6予習シリーズ演習問題集第12回 てこと運動学習のポイント
2026/05/20
■ 基本問題の学習ポイント
基本【1】振り子の性質と周期の計算
振り子に関する基礎知識と、長さと周期の規則性を読み取る問題です。
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振り子の長さの定義:振り子の長さとは、「支点からおもりの重心までの距離」を指します。おもりの上端や紐の長さではない点に注意が必要です。
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振れ幅の定義:振れ幅(振幅)は、振り子が振れる最大の角度や、中心からの振れ幅を指します。
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周期の規則性(最重要):振り子が1往復する時間(周期)は、おもりの重さや振れ幅には関係なく、振り子の長さだけで決まります。長さと周期の間には、「長さの比は周期の比の2乗に比例する(周期を2回かけた比になる)」という重要な規則性があります。
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例:長さが25cmで周期が1秒の場合、長さが4倍(100cm)になると、周期は2倍(2秒)になります。長さが9倍(225cm)になると、周期は3倍(3秒)になります。
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計算の工夫(平方数への注目):表から未知のデータ(長さが400cmのときの周期など)を求める際、基準とするデータは「長さが平方数(4倍、9倍、16倍など)の関係になっているもの」を選びます。25cmを基準にすると、400cmは16倍(4×4)にあたるため、周期は1秒の4倍で「4秒」と簡単に導き出せます。
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振り子の運動と速さ:振り子は両端で一瞬静止し(速さゼロ)、最も低い位置(最下点)を通過するときに「最速」になります。
基本【2】物体の落下運動とストロボ写真
斜面を転がる球の運動をストロボ写真(一定時間ごとの記録)から分析する問題です。
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加速する運動の特徴:斜面を流れる・落下するなど、物体が徐々に加速していくとき、同じ時間間隔で撮影した写真の「球と球の間隔」は徐々に広がっていきます。
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等速直線運動の特徴:水平な面を転がる球には、加速する力が働かないため(摩擦を無視する場合)、速さは一定(変わらない)となります。このとき、写真の球の間隔は常に一定になります。
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速さの計算:速さは「移動距離 ÷ かかった時間」で求めます。75cmを0.5秒で進んだ場合の速さは、75 ÷ 0.5 = 150cm/秒 となります。
基本【3】てこの3要素と種類・モーメントの基礎
てこの原理の分類と、基本的な計算(モーメント)を理解する問題です。
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てこの3要素:回転の中心となる「支点」、力を加える「力点」、力が働く「作用点」の3つを正確に見極めます。道具(カッター、ピンセット、釘抜きなど)を扱う際、どこを握るか(力点)、どこが回転の軸か(支点)、どこで作業するか(作用点)を意識します。
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てこの種類(真ん中に注目):てこを分類する際は、「真ん中に何があるか」で覚えるのが鉄則です。
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真ん中が作用点(カッターなど):小さな力を大きな力に変えることができます。
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真ん中が力点(ピンセットなど):手先のわずかな動きを大きな動きに変えることができます(力は損をします)。
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真ん中が支点(釘抜き、ハサミなど):力の向きを変えたり、距離の比に応じて力を大きくしたりできます。
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モーメントの計算:てこを回転させようとする働き(モーメント)は、「支点からの距離 × 重さ(力)」で表されます。左右のモーメントが等しくなったときに、てこは水平に釣り合います。
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力の加減と距離の関係:同じモーメントを作る場合、支点からの距離が短くなればなるほど、大きな力(重さ)が必要になります。
基本【4】てこの釣り合いとモーメントの応用
複数の重りが吊り下げられたてこの釣り合いを計算する問題です。
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複数のおもりのモーメント:片側に複数のおもりが吊るされている場合、それぞれのおもりの「支点からの距離 × 重さ」を計算し、それらを合計した値がその向きのモーメントになります。
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例:右側の距離2のところに1個、距離6のところに1個ある場合、右側の合計モーメントは(2×1)+(6×1)= 8 となります。これを左側の距離2のところで釣り合わせるには、8 ÷ 2 = 4個 のおもりが必要になります。
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おもりを取り除く問題:左右のモーメントの差を計算し、釣り合わせるために「どのモーメントを減らせばよいか」を逆算します。左の合計が9、右の合計が6であれば、左側からモーメント「3」分のおもりを取り除くことで、9 - 3 = 6 となり水平に釣り合います。
基本【5】未知数が2つあるてこの問題(支点決定法)
バネばかりの数値とおもりの重さなど、分からない値が2つある応用問題です。
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支点決定法(超重要テクニック):通常、てこは固定された場所が支点になりますが、釣り合っているてこにおいては「どこを支点として考えてもモーメントは成り立つ」という性質があります。これを利用し、分からない値がある場所のどちらか一方を「仮の支点」に設定します。
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仮の支点の設定メリット:分からない場所を支点に指定すると、その場所の「支点からの距離」が0になるため、その力のモーメントを無視して計算を進めることができます。これにより、もう一つの未知数を先に導き出すことが可能になります。
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逆比(逆数の比)の利用:モーメントが等しいとき、「距離の比」と「力の比」は逆比の関係になります。距離の比が5:4であれば、力の比は4:5になります。これを利用すると、掛け算の式を立てる一歩手前で素早く数値を出すことができます。
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上下の力の釣り合い:てこが静止しているとき、右回りと左回りのモーメントが釣り合っているだけでなく、「上向きの力の合計 = 下向きの力の合計」という関係も必ず成り立ちます。バネばかりが上向きに引く力の合計は、ぶら下がっているおもりの重さ(下向きの力)の合計と一致します。
■ 練習問題の学習ポイント
練習【1】てこの釣り合いの作図と逆比の活用
文章から状況を正しく図に表し、逆比を使って解く練習問題です。
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図の簡略化:問題文の状況(左端に150g、右端に90gのおもりがあり、どこかを紐で吊るして釣り合わせるなど)を、一本の線と矢印だけのシンプルな図に描き直す習慣をつけます。
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力の比と距離の比の逆転:左の力が150g、右の力が90gの場合、力の比は簡単に入力すると5:3です。これが水平に釣り合うための支点からの距離の比は、逆比の3:5になります。全体の長さが80cmであれば、比例配分(80cmを3:5に分ける)によって、左端から30cmの場所が支点(吊るす位置)であると一瞬で特定できます。
練習【2】太さが一様でない棒の重心(棒の重さを考える問題)
棒自体の重さを考慮しなければならない、一歩進んだてこの問題です。
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棒の重さの作用点(重心):太さが一様でない(左右で太さが違う)棒の場合、棒の重さは真ん中(中心)にはかかりません。棒が水平に吊り合って静止した位置(重心)の真下に、棒全体の重さがまとめてかかっているとみなして図を描きます。
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棒の重さを特定する手順:まずは棒を1点で吊るして釣り合った位置から、重心の場所(端からの距離)を特定します。次に、その場所に「棒の重さ」を一本の下向きの矢印として書き加えた上で、他の吊り下げられたおもりとのモーメントの計算を行います。
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比例配分の応用:おもりを移動させてんびんが傾く限界を考える問題では、支点が台の端に移動することに注目します。支点が移動した新しい図を描き、距離の比から新しい力の比(またはその逆)を求めて、おもりの位置を決定します。
練習【3】立体的な積み木のバランスと重心の移動
積み木を少しずつずらして重ねていくときの、全体の重心を考える難問です。
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上の段から順番に考える:複雑に重なった積み木のバランスを考えるときは、必ず「一番上の段」から一段ずつ独立させて考えていきます。一気に全体を一つの塊として捉えようとすると混乱するため、上の積み木がその下の積み木から落ちない条件を一つずつクリアしていきます。
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積み木の重さの置き換えテクニック:切り抜かれたり、一部がなくなったりした図形・立体の重心を考える際、「なくなった部分に、上向きの力が働いている」とみなす高度なテクニックがあります。本来下向きにかかるはずの重さが、その部分だけ上向きに引っ張られている(引かれている)と考えることで、全体のモーメントの釣り合いの式をシンプルに立てることができます。
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左右対称性と重心の特定:構造が左右対称、または一定の規則で配置されている場合は、それぞれの塊の重心がどこにあるかを求め、それらの重さの比の逆比を使って、全体の支えとなる位置(机の端など)を計算します。
練習【4】てこの傾きと限界条件(作図による思考)
台の上に置かれた板が、人が歩くことなどによってひっくり返る限界を測る問題です。
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傾き始める瞬間の支点(最重要):台の上に置かれた板が、左右どちらかに傾き始める(ひっくり返る)瞬間、板と台が接している一番端の角が新たな支点になります。傾く側とは反対側の台の接触面は、板が浮き上がって離れてしまうため、そこには何の力もかかっていない(存在しないもの)として扱います。
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限界条件の作図:左にひっくり返る瞬間であれば「台の左端の角」を支点とし、右のバネばかりや支えの力はゼロとして図を描きます。この状態でおもりの位置や力のモーメントの計算を行うことで、ひっくり返らずに移動できる限界の距離を求めることができます。
■ 発展問題の学習ポイント
発展【1】材質の異なる棒の結合とモーメントの連立
太さは同じでも、左右で材質(密度)が異なる2本の棒を繋ぎ合わせた問題です。
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それぞれの棒の重さを個別に配置する:2つの異なる材質の棒が繋がっている場合、それぞれの棒のパーツごとに「そのパーツの中心(真ん中)」にそれぞれのパーツの重さがかかっているとして図に表します。
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持ち上げる力とモーメントの関係:片方の端を持ち上げるということは、もう片方の端が支点になるということです。問題文の「Aの端を持ち上げるのに80g必要だった」という条件は、「Bの端を支点としたときに、Aを上向きに80gで引くと、棒のそれぞれの重心にかかる下向きの重さとモーメントが釣り合う」という意味になります。
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2つの条件の整理:A側を持ち上げるときのモーメントの式と、B側を持ち上げるときのモーメントの式、あるいは上下の力の釣り合い(持ち上げる力の合計 = 棒の合計の重さ)を組み合わせることで、それぞれの棒の重さや全体の重心の位置を特定していくことができます。
発展【2】円盤のくり抜きとマイナスの質量の考え方
大きな円盤から、一部の小さな円をくり抜いた残りの部分の重心を求める問題です。
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面積比を重さの比とする:厚さと密度が一定の板(円盤)の場合、重さの比はそのまま「面積の比」になります。円の面積は「半径 × 半径 × 3.14」で求められるため、面積の比(重さの比)は半径の比の2乗になります。
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例:全体の半径が2、くり抜く円の半径が1の場合、半径の比は2:1なので、面積の比(重さの比)は4:1になります。くり抜かれた残りの部分(三日月型のような形)の重さは、全体の4からくり抜いた1を引いて「3」の割合になります。
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「上向きの力」としてのくり抜き処理:基本5や練習3でも登場したテクニックですが、くり抜かれて空洞になった部分には「全体と同じ密度の下向きの重さ(力:1)」がかかっている状態に対し、それを相殺するために「上向きの力(力:1)」が付け加えられたとみなします。これにより、元の綺麗な丸い円盤全体の重さ(下向きの力:4)と、くり抜いた位置にかかる上向きの力(力:1)の2つの力だけのモーメントの釣り合いとして解くことができます。全体の重心から、くり抜いた位置と反対側にどれだけ重心がずれるかを逆比を使って計算します。
発展【3】物体の衝突と位置エネルギーの法則
斜面を転がした球を木片にぶつけ、その移動距離を測る問題です。
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位置エネルギーの公式(衝突のエネルギー):球が持っている、木片を動かすためのエネルギー(位置エネルギー)は、「球を落とす高さ × 球の重さ」に比例します。この値が大きければ大きいほど、衝突された木片は長い距離(D)を動かされます。
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エネルギーと移動距離の比例関係:木片の動く距離(D)は、球の位置エネルギー(高さ × 重さ)に綺麗に比例します。
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例:重さ100gの球を高さ10cmから転がした場合、エネルギーは 100 × 10 = 1000 です。これで木片が25cm動いたとすると、エネルギーが2倍の2000になれば木片は50cm動き、4倍の4000になれば100cm動きます。
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落下時間の一定性(横方向の速さと距離):斜面の端末から水平に飛び出す球の運動において、台の高さ(垂直方向の距離)が変わらなければ、球が空中に浮いてから地面に落ちるまでにかかる時間は、飛び出す速さに関わらず常に一定です。そのため、飛び出す速さ(V)が2倍、3倍になると、地面に着くまでに横にハミ出る距離(D)もそのまま2倍、3倍という綺麗な比例関係(正比例)になります。
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木片の重さと移動距離の反比例:衝突される側の木片の重さが2倍、3倍と重くなると、同じエネルギーをぶつけても、動かされる距離は2分の1、3分の1へと反比例して短くなります。この「ぶつける側のエネルギー(比例)」と「ぶつけられる側の重さ(反比例)」の2つの関係を整理して解き進めます。
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