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なぜ私は、これほど中学受験理科にこだわるのか

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理科にこだわる理由

中学受験理科専門講師、木ノ下翔です。

私は大学生の頃に浜学園で講師を始めて以来、20年以上、中学受験理科を教え、入試問題を解き続けています。

現在も、奈良の「学問のすすめ 大和西大寺教室」で受験生を教えながら、教材や過去問を研究しています。

なぜ、これほど長く中学受験理科を続けているのか。

仕事だからと言えば、それも事実です。

ただ、仕事という理由だけで、これほど長い間、同じ科目の問題を解き続けるのは難しいと思います。

結局のところ、私は中学受験理科そのものが好きなのです。

この記事では、私がなぜ理科にこだわり続けているのかを書いてみます。

私自身の経歴については、先に公開した「木ノ下翔という人間――中学受験の失敗から、理科専門講師になるまで」で詳しく紹介しています。

最初から、理科の専門家を目指していたわけではありません

私は京都大学では法学部に進学しました。

理系の学部で専門的な自然科学を学び、そのまま理科教育の道へ進んだわけではありません。

浜学園の講師を始めたのも、最初は大学時代のアルバイトでした。

ですから、子どもの頃から、

「将来は理科の先生になる」

と決めていたわけではありません。

ところが、実際に中学受験理科を教え始めると、思っていた以上に面白かった。

最初は授業がうまくいくことが面白かったのだと思います。

自分の説明で生徒が理解する。

難しい問題を整理して見せると、教室の空気が変わる。

授業が評価される。

もっと上手くなりたい。

もっと問題を解けるようになりたい。

どうせやるなら、誰より詳しくなりたい。

そう考えて教材や入試問題を調べているうちに、いつの間にか、授業以上に中学受験理科そのものへ引き込まれていました。

理科は、「なぜ?」を一段掘ると急に面白くなります

中学受験理科には、覚えなければならない知識がたくさんあります。

植物のつくり。

昆虫の成長。

月や星の動き。

天気の変化。

電気回路。

力のつり合い。

水溶液や燃焼。

これらを一問一答の形で覚えるだけなら、理科は暗記科目に見えます。

しかし、

「なぜ、そうなるのか」

と一段掘ると、急に話が変わります。

植物の形には、その環境で生きるための理由があります。

天体の見え方には、地球や天体の動きが関係しています。

計算問題の式にも、その式が成り立つ理由があります。

私は、この背景を考えるのが好きです。

知識を一つ覚えて終わるのではなく、その後ろにある仕組みを考える。

さらに掘ると、別の単元で学んだこととつながる。

「ああ、これはあの話と同じなのか」

と分かる。

この瞬間が面白いのです。

豆知識を並べるだけでは、物足りません

私は授業の中で、豆知識や小話をよく使います。

ただ、単に物知りな先生と思われたいわけではありません。

「こんな面白い話があります」

だけで終わると、その場では楽しくても、知識はまたバラバラのままです。

私が知りたいのは、

「なぜ、その話になるのか」

です。

その現象は何とつながっているのか。

どのような条件で起こるのか。

条件が変われば結果も変わるのか。

入試問題では、どのように問われるのか。

そこまで考えて初めて、その知識が問題を解くための道具になります。

雑学を増やしたいのではなく、知識同士をつなげたい。

これが、私の理科の見方です。

計算問題も、公式を覚えるだけでは面白くありません

中学受験理科には、さまざまな計算問題があります。

てこ、ばね、浮力、電気、熱、水溶液、燃焼。

公式や解法を覚えて、数字を当てはめれば解ける問題もあります。

受験ですから、典型問題を素早く処理できることは必要です。

ただ、私はそれだけでは物足りません。

なぜ、この二つの量が比例するのか。

一方を2倍にすると、もう一方はどうなるのか。

何を1と考えれば、関係が見えやすくなるのか。

複雑な条件の中から、どれを取り出せば単純な問題になるのか。

こうして関係を整理していくと、難しそうに見えた問題が、

「なんだ、結局こういうことか」

という形までほどけることがあります。

私はこの瞬間もかなり好きです。

良い入試問題には、作問者の意図が見えます

長く入試問題を見ていると、単に正解を出すだけでなく、

「この問題を作った先生は、何を考えさせたかったのだろう」

と思うようになります。

基本知識を正確に使えるかを確認したいのか。

与えられた実験結果から規則を発見させたいのか。

複数の条件を整理する力を見たいのか。

見慣れない題材でも、既に知っている考え方へ戻れるかを試したいのか。

よくできた問題は、初めて見る題材を使いながら、小学生がこれまで学んできたことをきちんと問うています。

そのような問題を見ると、

「よくこんな聞き方を考えたな」

と思います。

反対に、

「これは小学生に何をさせたいのだろう」

と疑問に感じる問題もあります。

問題だから無条件にありがたがるのではなく、何を測ろうとしている問題なのかまで考える。

それも、私にとっての入試問題研究です。

私が研究したいのは、答えよりも「最初の一手」です

完成した解答を見れば、その問題の解き方は分かります。

しかし、子どもが本番で困るのは、答えを確認できない状態で初めて問題を見たときです。

何を見ればよいのか。

どこから手をつければよいのか。

問題文のどの条件が重要なのか。

過去に学んだ何と似ているのか。

私は問題を解くとき、ここをかなり考えます。

この問題を初めて見た小学生が、何を手がかりに最初の一歩を踏み出せばよいのか。

その一歩を言葉にして渡せなければ、解説としては十分ではないと思っています。

答えを知った大人が、完成した解法を順番に説明するだけにはしたくありません。

初見問題も、完全にゼロから解くわけではありません

受験生は、入試問題に突然出会ったわけではありません。

4年生、5年生、6年生と学習してきています。

知識を覚え、典型問題を解き、比や割合を使い、表やグラフを読んできました。

難しい初見問題であっても、それまでに身につけたものを何も使わずに解くわけではありません。

問題を見る。

何の現象なのかを認識する。

過去に解いた問題との共通点を探す。

条件を整理する。

そして処理する。

見た目は初めてでも、問題の中に知っている構造が隠れていることがあります。

それを見つけられるようにすることが、私の理科指導の大きな目的です。

面白さだけで、受験は終われません

私は理科を面白いと思っています。

子どもにも、できれば理科を面白いと思ってほしい。

しかし、

「理科を好きになれば、点数はどうでもいい」

とは考えていません。

中学受験をしている以上、点数は取りにいきます。

志望校に合格するために、覚えるべき知識は覚える。

典型問題は速く正確に処理できるようにする。

過去問を分析する。

取るべき問題と、深追いしない問題を判断する。

ここを曖昧にするつもりはありません。

理科の面白さを伝えることと、入試で点を取らせることは、どちらか一方ではありません。

意味を理解した方が覚えやすい。

知識がつながっている方が、初見問題でも取り出しやすい。

問題の構造が見える方が、複雑な計算でも迷いにくい。

面白さや理解を、最終的に得点へつなげる。

そこまでが受験指導だと思っています。

同じ科目を続けていても、問題は毎年変わります

20年以上、中学受験理科を教えていると言うと、

「もう大体の問題は知っているでしょう」

と思われるかもしれません。

確かに、典型的な考え方や頻出テーマはあります。

しかし、入試問題は毎年作られます。

新しい題材が出ます。

社会で注目された科学的テーマが扱われることもあります。

同じ知識を、これまでとは違う角度から問う問題もあります。

学校ごとの出題にも変化があります。

ですから、過去の経験だけで教え続けることはできません。

新しい問題を解く。

過去の問題と比べる。

どこが同じで、どこが変わったのかを考える。

教材も見直す。

今の受験生がどこで困るのかを見る。

経験が長いこと自体より、経験の上に新しい研究を積み重ね続けることの方が重要です。

私は結局、考えること自体が好きなのだと思います

理科の問題を見る。

まず自分で解く。

なぜその解き方になるのかを考える。

もっと単純に説明できないかを考える。

子どもはどこで止まるのかを考える。

別の問題とつなげられないかを考える。

そして授業や動画で説明する。

子どもが理解する。

それでも解けなければ、また考える。

これを長い間繰り返してきました。

効率だけを考えれば、もっと別の仕事もあったかもしれません。

それでも、今も中学受験理科の問題を解いています。

おそらく私は、理科を教えることだけではなく、

分からなかったものが、考えることで分かる形へ変わること

が好きなのだと思います。

だから、これほど中学受験理科にこだわり続けています。

そして、これからも新しい問題を解き、教材を研究し、子どもへ渡せる形に整理していきます。

中学受験理科専門講師
木ノ下 翔

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