KoNa教育合同会社

超現場主義を貫く――目の前の子どもから、理科の解説をつくる

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超現場主義

木ノ下翔は、毎年、理科の担当責任者として20名を超える生徒を受け持っています。

最難関校を目指す子もいれば、まずは理科を苦手科目にしないことが目標の子もいます。

知識は十分にあるのに、初めて見る問題になると手が止まる子。計算方法は覚えていても、どの式を使えばよいのかわからない子。実験の文章を最後まで読めるけれど、条件を整理できない子。図を描けば解けるのに、そもそも図を描くという発想が出てこない子。

同じ「理科が苦手」という言葉の中にも、一人ひとり違うつまずきがあります。

木ノ下は、さまざまな学力段階、志望校、性格の生徒を担当しながら、こうした子どもたちの困りごとを毎年、目の前で見続けています。

解説の出発点は、問題ではなく子どもにある

理科の問題には、模範解答があります。解き方が一つに決まる問題もあります。

しかし、正しい解き方を説明すれば、それだけで子どもが次から解けるようになるとは限りません。

解説をつくるときに本当に必要なのは、「この問題を解けなかった子は、どこで止まったのか」を考えることです。

問題文の意味がわからなかったのか。見慣れた問題との共通点を見つけられなかったのか。条件を図や表に整理できなかったのか。使う知識はわかっていたけれど、計算までつなげられなかったのか。

同じ問題を間違えた二人でも、必要な解説は違います。

木ノ下にとって、解説の出発点は問題そのものではありません。その問題を前にして、実際の子どもがどのように困ったのか。そこから解説を組み立てます。

「簡単な解き方」だけでは、次につながらない

理科の解説では、しばしば「この問題は、こう考えれば簡単です」と説明されます。もちろん、複雑な問題をわかりやすく整理することは大切です。

ただし、その解き方が、問題に困っている子どもの現在地に合っているとは限りません。

高度な知識を前提にした説明を、基礎でつまずいている子に示しても、自分で再現することはできません。逆に、最難関校を目指す子に答えまでの手順だけを教えても、条件が変わった問題には対応できません。

大切なのは、目の前の問題を解けるようにすることだけではなく、その考え方が次の問題にどうつながるのかを示すことです。

この図を描くことで、次はどんな問題が解けるようになるのか。この条件整理は、別の実験問題でどう使えるのか。この計算方法は、どのような問題の型に共通するのか。

木ノ下は、一つの解法をその問題だけで終わらせず、次に使える考え方として整理します。

現場を離れると、子どものつまずきも見えにくくなる

問題を解けることと、解けない子どもに教えられることは同じではありません。

学力が高く、問題をすぐに解ける人ほど、子どもがなぜそこで止まるのかを想像しにくい場合もあります。自分にとって自然にできることを、説明する必要があると気づかないからです。

問題文のどの言葉に注目するのか。なぜここで図を描こうと思うのか。複数の知識の中から、なぜこの知識を選ぶのか。どの段階で「この問題は、あの型だ」と判断するのか。

経験の浅い講師が解説をつくると、答えまでの手順は正しくても、こうした途中の判断が抜け落ちることがあります。それでは、子どもは解説を読んだ瞬間には納得できても、次の問題を自力で解けません。

これは、学生講師だから教えられないという話ではありません。学生講師にも、知識が豊富で、丁寧に子どもと向き合う人はいます。

ただ、さまざまな学力段階の子どもを継続して担当し、その反応や誤答を蓄積して初めて見えてくるものがあることも事実です。

木ノ下が重視しているのは、肩書や年数だけではなく、今も現場で子どもを教え続けているかどうかです。

子どもの「わからない」は、毎年更新される

入試問題は変化します。教材も変わります。子どもたちが触れる情報や、普段の学習方法も変わっていきます。

以前なら自然に知っていたことを知らない子が増えることもあれば、動画を見て用語だけは知っているけれど、仕組みを説明できない子が増えることもあります。

だから、過去の指導経験だけに頼ることはできません。

木ノ下は毎年、生徒の答案、ノート、問題用紙への書き込み、授業中の反応を見ながら、「今の子どもは、どこでつまずくのか」を更新しています。

以前は通じた説明が伝わらなければ、言葉を変える。計算で止まる子が多ければ、その前段階にある条件整理を見直す。図を描いても理解できないなら、図を描く前に何を認識させるべきかを考える。

この繰り返しが、木ノ下の教材研究と問題解説の土台になっています。

抽象化し、名前をつけ、次に使える形にする

現場で見つけたつまずきを、単なる個別事例のままにしておくだけでは、他の子どもの学習には生かせません。

木ノ下が行っているのは、目の前で起きたことを抽象化し、共通する考え方として整理することです。

たとえば、ある子が実験問題を解けなかったとします。その原因を「この問題を知らなかった」で終わらせるのではなく、比較する条件を見つけられなかった、変えた条件と結果を対応させられなかった、各実験からわかることを短くまとめられなかった、選択肢の一部分だけを見て判断した、というように分解します。

そして、別の問題でも再利用できる考え方として、名前をつけて整理します。

子どもの困りごとを見つける。共通する原因を取り出す。言葉にして整理する。次の問題でも使える形にする。

この抽象化とラベリングがあるからこそ、一問の解説が一問だけで終わらず、その後の学習につながります。

動画解説にも、現場の温度を持ち込む

木ノ下は、授業だけでなく、問題解説や動画配信にも力を入れています。

動画であっても、目の前に生徒がいる授業と考え方は変わりません。

ただ答えを示すのではなく、「ここで、どこを見てほしいのか」「何に気づけば、次へ進めるのか」「間違えたときは、どの段階まで戻ればよいのか」を残します。

動画は、視聴したその場で「わかった」と感じてもらうためだけのものではありません。問題用紙へ戻り、もう一度自分の手で考えたときに、最初の一手を選べるようにするためのものです。

そのためには、問題を解けるだけでは足りません。その問題に困っている子どもの姿を、具体的に思い浮かべられる必要があります。

一線の現場に立ち続ける理由

教材研究に専念するために、現場を離れるという考え方もあります。しかし、木ノ下は現場と教材研究を切り離しません。

授業をするから、子どもの新しいつまずきに気づく。つまずきに気づくから、解説をつくり直す。解説をつくるから、次の授業で確かめられる。そして、そこで得た反応を、再び教材や動画へ戻していく。

現場、研究、解説、検証。この循環を止めないことが、木ノ下の考える「超現場主義」です。

過去の実績だけで語らない。理論だけで子どもを分類しない。毎年、実際の子どもと向き合い、自分の説明が本当に届いているかを確かめる。

よい解説は、机の上だけでは完成しません。

目の前の子どもの「わからない」と向き合い続けることで、初めて次の一歩につながるものになる。

木ノ下翔は、そう考えています。

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